比較用の音ファイル(§3.2.2 (11) 図3.57 カデンツァの楽譜は図3.56) 各フォルダーにG線開放弦の音だけをまとめて入れたファイルを置いてある. その他は,G線開放弦の音を冒頭に含むブルッフのヴァイオリン協奏曲第1楽章冒頭のカデンツァ 演奏はすべて最盛期のRuggiero Ricciで同一条件での録音.(レコードはDekka) ●フォルダー「Stradivari」 Str_Ern+Esp+Joa+Mad+Mon.wav Stradivarius5本のG線開放弦の音だけを繋いだファイル 5本=Ernst, España, Joachim, Madrileño, Monasterio  エルンスト:これを使っていた19cオーストリア人奏者[Heinrich Wilhelm Ernst]の名前,通常フラス語読みでエルンスと読まれる.1709年製.  エスパーニャ:スペイン王室へ収められていた楽器の一つ,1677年製.  ヨアヒム:これを使っていた19cハンガリア人奏者 Joachim Jozsef [通常,Joseph Joachimと書かれる.当時の音楽会のボス]).   1715年製(収録レコードの記載は1714年)  マドリレーニョ(「マドリッド娘」の意),Benjamin Franklinの妻の所有であった.1720年製.  モナステリオ(「修道院」の意).この録音の奏者 Ruggiero Ricci の所有物.1716年製.(収録レコードの記載は1719年)  ●フォルダー「Guarneri Gua_Ber+Vie+Gib+Laf+Pla.wav Guarnerius5本のG線開放弦の音だけを繋いだファイル 5本=De Beriot, Ex-Vieuxtemps, Gibson, Lafont, Plowden  ド・ベリオ:Viottiの直弟子 Charles Auguste de Beriot(シャルル・オーギュスト・ド・ベリオ)が使っていた.1744年製.  エクス・ヴュータン:19cにフランスで活動したベルギー人奏者 Henri François Joseph Vieuxtemps(アンリ・フランソワ・   ジョゼフ・ヴュータン)が使っていたヴァイオリン.1739年製.  ギブソン:このレコードの収録時はRuggiero Ricciの所有であった.1734年製.  ラフォン:18c末から19c前半のフランス人奏者でクロイツェルの弟子であったCharles Philippe Lafont(シャルル・   フィリップ・ラフォン)が使っていたヴァイオリン.1735年製.  プラウドン:ロンドンの蒐集家Chichele Plowdenの所有であったヴァイオリン.1735年製.   ●フォルダー「Others」 Otros_AA+GS+NA+CB.wav Stradivari,Guarneri del Gesù以外のCremona派の4人のヴァイオリンのG線開放弦の音だけを繋いだファイル 4人=Andrea Amati, Gasparo da Salò, Nicolo Amati, Carlo Bergonzi  Andrea Amati のものは1560~1570年ころに作られたものと推定されている.  Gasparo da Salo のものは1570~1580年ころに作られたものと推定されている.  Nicolo Amati のものは1656年製.  Carlo Bergonzi作のものは”Constable”という名前が付いている.1731年製. その他の録音内容はブルッフ(Max Bruch)のヴァイオリン協奏曲第1番第1楽章冒頭のカデンツァ 演奏はRuggiero Ricci(録音は1960年ころ) 各約25秒程度  ヴァイオリンの呼び名は,過去の著名な所有者(奏者が多い)名であることが多い. ●フォルダー「Stradivari」はAntonio Stradivari(1644?-1737)作のヴァイオリン  ファイル名は「V_S_呼び名・作製年.wav」となっている.  「Str_Ern+Esp+Joa+Mad+Mon.wav」は5本のStradivariusのG線開放弦の音を続けて入れたものである.  「Joachim逆転.wav」は「V_S_Joachim1714.wav」の時間軸逆転波形である.  エルンス:オーストリア帝国(現チェコ)の名手Heinrich Wilhelm Ernstが1850~1865年に使っていた楽器  スペイン:スペイン王カルロスⅡのイタリア来訪時に贈呈予定でStradivariが作ったが,来訪中止で宙に浮いた装飾付きの楽器  ヨアヒム:19c後半~20c初頭のヨーロッパ全体の音楽界の大御所であったハンガリーのJoseph Joachimが持っていた数本のStrad.のうちの1本  マドリレーニョ:奏者Ricci自身の所有楽器 過去には物理学者フランクリンの妻が所有していた等の経歴がある. ファイル名に特殊文字を使えないので,「ニョ」が「gno」になっているが,本来はMadrileño Espagaとしている楽器も,本来はEspaña.ただし,米国では通称Spain.  モナステリオ:奏者Ricci自身の所有楽器 大ヴァイオリニストJesus de Monasterioが使っていた.1716年作とも. ●フォルダー「Guarneri」はGuarneri del Gesù(Bartolomeo Giuseppe Guarneri)作のヴァイオリン  ファイル名は「V_G_呼び名・作製年.wav」となっている.  「Gua_Ber+Vie+Gib+Laf+Pla.wav」は5本のGuarneri del GesuのG線開放弦の音を続けて入れたものである.  ド・ベリオ:ヴィオッティの弟子.フランコ・ベルギー派の創始者Charles-Auguste de Beriotが使っていた楽器.  エクス・ヴュータン:ド・ベリオの弟子Henri Vieuxtempsが使っていた楽器.  ギブソン:「パガニーニ弾き」と言われた奏者Ricci自身の常用のグアルネリ  ラフォン:ヴィオッティ~ロードの系統のフランス派の奏者Charles-Philippe Lafontが使った楽器.現在はNigel Kennedyが使用.  プラウドン:最初の所有者である蒐集家Chichery Plowden(ロンドンのディーラーJohn Hartから購入)の名前がついている. 以後,多数の人を経て,現在はMark Ptashneの所有となっている.表板の隆起が浅く音が大きい.裏板は1枚板. ●フォルダー「Others」はStradivari, Guarneri de Gesu 以外のCremona派の名工のヴァイオリン  ファイル名は「V_製作者名・作製年.wav」となっている.  「Otros_AA+GS+NA+CB.wav」は以下の4人の楽器によるG線開放弦の音を年代順につないだものである.  Andrea Amati(1505-1578): ヴァイオリンと呼べる最初の楽器(3弦)を1530年ころに作ったとされる.Cremona派の始祖.  Nicolo Amati(1596-1684): Andrea Amatiの孫.Cremonaのヴァイオリン製作の最盛期を築いた.ヴァイオリン製作のギルドの長. 大きな工房をもち,多くの弟子(Andrea Guarneri, Giovanni Battista Rogeri, Francesco Ruggeri, Antonio Stradivari etc)を抱えた.  Gasparo da Salò(1540-1609): 時代考証が進む以前,最初のヴァイオリンを作ったと思われていたが,年代の不整合から否定されるようになった.  Carlo Bergonzi(1686-1747): Nicolo Amatiの弟子.Stradivariの工房を末子Paolo Stradivariから譲り受けたが,工房の引継ぎ後数年で死亡した.